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No. 122 Critical Brief · 来歴証明

Hugging Face の公開データセット:学習データに、いまも有効な認証情報が残っていたと報告された(Truffle Security 調査)

221,303件
いまも有効と検証された認証情報。6,003 のデータセットで見つかった(Truffle Security)
7.6PB
走査した Hugging Face の公開データセット。約 81.5 万リポジトリ・1 億 8,690 万ファイル
44%
複数のデータセットに現れた、有効な鍵の割合。19,380 件は 10 以上のデータセットに現れた
国・地域国際
事案日2026-06-01
公開2026-08-04
発行Lemma Critical Team
目次
  1. 01要点
  2. 02通った操作
  3. 03実行前の照合
  4. 04Lemma でできること
  5. 05事実と時系列
  6. 06Sources

要点

Truffle Security の調査によれば、Hugging Face のプラットフォームは公開プッシュを走査し、見つけた鍵を作成者に通知していた。それでも、通知の後に失効されない鍵が多く残り、上流のコーパスから派生したデータセットに、同じ鍵がくり返し複製されていた。追跡できた鍵の多くは、持ち主自身ではなく、他人のコーパスから紛れ込んだものだった。調査は研究で、広範な悪用の報告ではない。データセットを取り込み・再公開する前に、その出所と利用条件を照合しなければ、どこかで漏れた鍵は派生のたびに再公開され、元のデータから消しても複製に残る。

図表 1「検知」と「実行の前の照合」の違い

実行の前の照合=データセットを取り込み・再公開する前に、データの出所と利用条件を照合し、記録に残すこと。検知=公開された後に、データの中の鍵を見つけて知らせること。今回は、プラットフォームの走査と通知、Truffle Security の調査がそれに当たる。

実行の前の照合 · 公表からは分からない取り込み・再公開の前に、データの出所と利用条件を照合する
Truffle Security が報告したこと通知の後も失効されない鍵が
派生のデータセットに複製されていた
検知 · 走査と通知が働いた公開プッシュを走査し、作成者に知らせる
漏れる
鍵が GitHub・Web・チャットのログで漏れる
上流
The Stack や Common Crawl などのコーパスに入る
派生
派生・再アップロードのたびに、同じ鍵が再公開される
2026-06
Truffle Security が走査の結果を公表する

通った操作

通った操作
有効な認証情報を含むデータの、公開データセットへのアップロードと、派生・再アップロードによる再公開。Truffle Security によれば、鍵は GitHub・Web・チャットのログなどで漏れ、The Stack や Common Crawl などの上流のコーパスに入り、そこから派生したデータセットのたびに再公開されていた。
受け付けた側に届くもの
一般に、データセットを取り込む側には、ファイルと、データセットの名前やダウンロード数は届くが、中のデータがどこから来て、どの条件で公開されたかは届かない。鍵を受け付ける各サービスの側には、一般に、鍵そのものが届き、その鍵を誰が使っているかは届かない。
鍵の持ち主
Truffle Security が追跡できた Hugging Face トークンのうち、約 700 件は他人のコーパスから紛れ込んだもので、持ち主自身の流出は 63 件だった。同社は、通知は誰かが行動して初めて意味を持ち、行動の割合は 100% に遠い、としている。
公表されていないこと
見つかった鍵が実際に悪用されたか(Truffle Security は、広範な悪用の報告ではないとしている)。個人・企業・データセットの名前。走査を完走しなかったリポジトリの中身。

実行前の照合

経路を問わず区別できる条件は、データセットを学習に取り込む、または再公開する前に、そのデータの出所と利用条件を照合することである。

この事案の核心
データセットを取り込み・再公開する前に、その出所と利用条件を照合しなければ、どこかで漏れた鍵は派生のたびに再公開され、元のデータから消しても複製に残る。
誰が承認を出すか
データの出所の持ち主。データセットの名前やダウンロード数は、出所と利用条件の代わりにならない。
どこで照合するか
データセットを学習に取り込む手前と、派生として再公開する手前。出所と利用条件を照合できないデータは、取り込まず、再公開しない。
何が残るか
どのデータが、どの出所と条件でデータセットに入ったかの記録。あとで鍵が見つかったとき、どの派生に複製されたかを辿れる形にする。

プラットフォームの走査と Truffle Security の調査は、有効な鍵を具体的に数えたが、それはデータセットが公開され、複製された後に見つけたものだった。Truffle Security が公開コーパスの有効な認証情報を数えた事案に、Common Crawl の生きた認証情報 がある。公開されていることと学習に使ってよいことが分かれた点は、学習データへの個人情報の混入 と重なる。

Lemma でできること

Lemma は、実行前の照合を、データセットを取り込み・再公開する手前に組み込む。データの中の鍵を探したり、鍵を失効させたりするのではなく、そのデータの出所と利用条件を、取り込む前に照合する。

注意したい業界・業務

業界AI
公開データセットでモデルを学習させる、またはデータセットを公開・再配布する事業者。
業界開発者・エージェント運用
API キーやトークンを発行・利用する開発者。漏れた鍵は、持ち主の知らないデータセットに複製されうる。
業務情報の開示・提供
集めたデータを、データセットとして公開・再公開すること。
業務アカウント・権限の管理
鍵の発行と失効。

いまの対策と Lemma の違い

1 列目は鍵を見つけて知らせること、2 列目は鍵を使えなくすること、3 列目はデータセットを取り込み・再公開することである。Truffle Security の報告では、1 列目は働いたが、多くの鍵は失効されないまま、3 列目で複製され続けた。

対策鍵の発見と通知鍵の失効データセットの取り込み・再公開(出所と利用条件)
公開プッシュの秘密の走査と、作成者への通知一部一部関係しない
Enterprise 組織での Hugging Face トークンの自動失効一部一部関係しない
Lemma(実行の前の照合)関係しない関係しない効く

走査と通知は、押し込まれた鍵を見つけて作成者に知らせるが、他人のコーパスから紛れ込んだ鍵では、作成者は鍵の持ち主ではない。失効は、知らせを受けた人が行動して初めて進む。自動失効は、Enterprise 組織の Hugging Face トークンに限られる。どちらも、データセットを取り込んでよいかは決めない。Lemma は、取り込み・再公開の前に、データの出所と利用条件を照合する。鍵を見つけたり、失効させたり、データを消したりするものではない。

注:Lemma の照合が働くのは、データセットを取り込み・再公開する手前に照合を組み込み、データの出所と利用条件が、集める側とは別に発行・管理されている場合に限る。出所と利用条件を持つデータは、中に鍵を含んでいても、この照合を通る。漏れた鍵を見つけて失効させるのは、秘密の走査と鍵の持ち主の手続きで、Lemma はそれに代わらない。表は何を照合しているかの比較で、今回の事案で止まったかどうかを示すものではない。Lemma は、侵入を検出・防止するものではない。

点検点検チェックリスト

学習や配布に使うデータセットと、自社の鍵について、組織で確認する 3 項目

  • 取り込むデータセットを、名前やダウンロード数とは別の基準で選んでいるか。
  • どのデータが、どの出所と条件でデータセットに入ったかを記録しているか。
  • 自社の鍵が公開のデータに見つかったと知らせを受けたとき、失効までを誰が行うかを決めているか。

事実と時系列

対象
Hugging Face の全公開データセット。約 81.5 万リポジトリ・1 億 8,690 万ファイル・7.6PB。Truffle Security の従来最大の走査(約 400TB)の約 19 倍にあたる。
調査の方法
Parquet・Arrow・JSONL・アーカイブ・バイナリを走査できるテキストに展開し、TruffleHog を検証モードで実行した、と Truffle Security は報告している。
確認されたこと
いまも有効な認証情報 221,303 件を、6,003 のデータセットで見つけた。うち 1 件は約 393GB の個人情報(同社の推定で世界人口の約 3.7%)に到達できた、と同社は報告している。
内訳
GitHub の個人用アクセストークン 349 件(リポジトリの書き込み 223・CI の書き換え 130・admin:org 112・パッケージの公開 110)、Docker Hub 318 件、Hugging Face トークン 787 件(書き込み 237・組織の管理者 70)。GCP のサービスアカウントの鍵 8,557 件(3,811 プロジェクト)、稼働中のデータベースのログイン 8,594 件、AI プロバイダの鍵 11,496 件(1,210 データセット。OpenAI・Azure OpenAI・Anthropic・Gemini・Groq など)。npm と PyPI は個別に確認され、有効な鍵は無かった。
複製
有効な鍵の 44% が複数のデータセットに、19,380 件が 10 以上のデータセットに現れた。ChatGPT の会話に一度貼られた Infura の鍵が、WildChat のチャットログのデータセットを経て、1,131 のデータセット・10,162 のファイルの位置へ複製された例が報告された。
影響
漏れた AI プロバイダの鍵で使われうる推論は、年に約 92 万ドルが下限と見積もられている(Truffle Security)。
プラットフォームの対策
Hugging Face は以前から公開プッシュを TruffleHog で走査し、検出したときに作成者へ通知する。Enterprise 組織では、公開のリポジトリやバケットに押し込まれた Hugging Face トークンを、その場で自動失効させる。

用語メモ
TruffleHog — Truffle Security の、ファイルやリポジトリから認証情報を探す道具。検証モードでは、見つけた鍵が実際に認証に通るかを各サービスに照会する。
生きた認証情報 — 検証で、いまも認証に通ると確認された API キー・トークン・ログイン情報。
上流のコーパス — The Stack や Common Crawl など、Web やコードを広く集めた大きなデータ。多くのデータセットがここから派生する。

時系列

2024-09-04
Hugging Face が、TruffleHog との提携による秘密の走査を公表する。
公表前
Truffle Security が、最も影響の大きい発見(約 393GB の個人情報に至る露出を含む)を当事者とプロバイダへ先に知らせ、重大なものの受領の確認を待って公表を保留する。
2026-06-01
Truffle Security(Dylan Ayrey ほか同社のリサーチチーム)が調査の結果を公表する。

本件は研究で、広範な悪用の報告ではない。個人・企業・データセットの名前は公表されていない。有効な鍵の検証は各プロバイダに対して行われ、数値は検証済みのものである。到達範囲の確認はメタデータだけで、データの読み取り・複製・改変は行われていない。走査の対象 約 81.5 万リポジトリのうち完走したのは約 67 万で、数値はその範囲での下限にあたる。件数と通知の状況は Truffle Security の報告に拠る。本 Brief は、鍵の持ち主やプラットフォームを責めるものではない。公表されていないことは、対策が無かったことを意味しない。

公表後の対応

  • Hugging Face: 同社 CTO の Julien Chaumond が、TruffleHog へストレージバケットの走査のネイティブ対応のコードを寄贈した。
  • Truffle Security: 寄贈の後の走査で新たに多くの鍵を見つけたとし、続報を予告している。

Sources

  1. 一次・調査主体Truffle Security Dylan Ayrey, “Scanning 7.6 Petabytes of HuggingFace Training Data for Secrets”(2026-06-01)— https://trufflesecurity.com/blog/scanning-7-6-petabytes-of-ai-training-data-for-secrets
  2. 一次・対応Hugging Face “Secrets Scanning”(Hub ドキュメント)— https://huggingface.co/docs/hub/en/security-secrets
  3. 一次・提携Hugging Face Luc Georges, “Hugging Face partners with TruffleHog to Scan for Secrets”(2024-09-04)— https://huggingface.co/blog/trufflesecurity-partnership

参照: 「AI 時代のサイバー防衛に残された、最後の層」

ほかでも起きている同じ手口「情報の開示・提供」の事例 14 件を一覧で見る

この Brief は、公表された事実から、同じ立場の組織が点検できることを整理したものです。個別の被害や手続きの案内ではありません。

本資料は公開情報の構造化分析であり、特定組織への監査・診断・推奨ではありません。

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Lemma Critical Team. (2026).
"Hugging Face の公開データセット:学習データに、いまも有効な認証情報が残っていたと報告された(Truffle Security 調査)".
Lemma Critical Brief No.122. Lemma / FRAME00, Inc.
https://lemma.frame00.com/ja/critical/briefs/122-truffle-huggingface-datasets-live-secrets/
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