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No. 054 Critical Brief · 来歴証明

OpenAI Sora 2:著作権のあるキャラクターを、権利者が拒否しない限り生成できる方針で公開した(CODA・日本政府が要請)

約 3日
公開から、著作権キャラの生成を事前許諾(opt-in)の方式へ移すと表明するまで(OpenAI の表明と報道)
opt-out→opt-in
公開当初の「拒否しない限り生成できる」方針から、「あらかじめ許諾を要する」方式へ(OpenAI の表明)
10-16→10-23
日本政府が OpenAI に、事前に権利者の許諾を求めるよう正式に要請した時期(2025 年・報道)
国・地域米国・日本
事案日2025-10-15
公開2026-06-13
発行Lemma Critical Team
目次
  1. 01要点
  2. 02通った操作
  3. 03実行前の照合
  4. 04Lemma でできること
  5. 05事実と時系列
  6. 06Sources

要点

公開当初の方針は、許諾の確認を生成の前ではなく、権利者が後から拒否を申し出ることに任せていた。公開直後から、著名な著作物のキャラクターを含む動画が生成されて SNS で広がり、MPA やアーティストの批判、CODA と日本政府の要請が続いた。出力ごとの違反の判定や権利者の異議は、生成と拡散の後に働き、広がった出力を回収するところまでは届かない。「拒否されていない」ことは「許諾されている」ことではないので、著作物を使う生成は、生成の前に許諾の記録を照合しない限り、許諾の無いものも生成され、拡散の後にしか問えない。

図表 1「検知」と「実行の前の照合」の違い

実行の前の照合=生成の前に、素材についての権利者の許諾を照合し、記録に残すこと。検知=生成と拡散の後に、出力の違反や権利者の異議で見つけること。下の日付は、表明と報道に基づく経過である。

実行の前の照合 · 公表からは分からない生成の前に、素材についての権利者の許諾を照合する
確認されたこと著作権キャラを含む動画が、
公開直後から SNS で拡散した
検知 · 生成と拡散の後に働いた出力の違反の判定と、権利者・業界・政府の異議
09 下旬〜10 上旬
opt-out の方針で公開
公開から約 3 日
opt-in への移行を表明
10-15 前後
CODA が要求
10-16〜23
日本政府が要請

通った操作

通った操作
権利者が明示的に拒否(opt-out)していない著作権キャラクターを含む動画の生成。公開直後から、Pikachu・SpongeBob・South Park の全編風などが容易に生成された(報道)。
受け付けた側に届くもの
一般に、opt-out の方式では、生成の条件は「拒否の申し出が無い」ことで、権利者の許諾があることではない。生成の時点で、どの素材を、どの許諾で使ったかは、出力からは分からない。
CODA の指摘
学習の過程での複製が著作権侵害になり得るとし、One Piece・鬼滅の刃・ポケモン・マリオなどに酷似する出力を問題視した。opt-out の方式は同意の負担を逆転させ、日本の著作権の原則(事前の許諾)に反すると指摘した(CODA)。
公表されていないこと
学習データの具体的な構成と、個別の許諾の状況。

実行前の照合

経路を問わず区別できる条件は、著作物を使って生成する前に、その素材について、この用途への権利者の許諾があるかを、拒否の申し出の有無とは別に照合することである。

この事案の核心
「拒否されていない」ことは「許諾されている」ことではないので、著作物を使う生成は、生成の前に許諾の記録を照合しない限り、許諾の無いものも生成され、拡散の後にしか問えない。
誰が承認を出すか
素材の権利者。どの作品・キャラクターを、どの用途に使ってよいかを、許諾として示す。
どこで照合するか
生成のサービスが生成を実行する手前。著作物を使う生成は、許諾の記録と照合し、許諾が無い・用途が合わないものは生成しない。
何が残るか
どの生成を、どの権利者の、どの許諾の照合を通して実行したかの記録。権利者や当局から異議を受けたときに、どの生成が何に基づいたかを辿れる。

出力ごとの違反の判定と権利者の異議の窓口は、被害の把握と是正に要る対応で、本 Brief はその役割を否定しない。ただ、許諾の確認が生成の後に置かれる限り、対応は拡散の後になる。公開されていることが、学習や生成に使ってよいことを意味しない型の事案に Discord(公開 API で集めたメッセージの公開)、肖像の来歴が生成・公開の前に照合されない型の事案に YouTube(著名人を装った合成動画の広告)がある。

Lemma でできること

Lemma は、実行前の照合を、生成のサービスが生成を実行する手前に置く。出力が著作物に似ているかを判定するのではなく、生成に使う素材について、この用途への権利者の許諾があるかを、生成の前に照合する。

注意したい業界・業務

業界AI
画像・動画を生成するサービスの提供者。生成の既定を「拒否が無ければ使う」とするか「許諾があるものだけ使う」とするかが、権利者・業界団体・政府との論点になる。
業界メディア
作品とキャラクターの権利を持つスタジオ・出版社・ゲーム会社と、生成 AI で作った画像・動画を使う制作の現場。事前の許諾を原則とする法域では、opt-out で足りるかが問われる。

いまの対策と Lemma の違い

今回の経路は、1 列目(権利者が拒否を申し出ていない著作権キャラの生成)である。

対策権利者が拒否を申し出ていない著作権キャラを生成する権利者が拒否を申し出た著作権キャラを生成する生成済みの動画が SNS で拡散する
権利者の拒否の申し出(opt-out)効かない一部関係しない
出力ごとのコンテンツ違反の判定一部一部関係しない
Lemma(実行の前の照合)一部一部関係しない

opt-out の申し出は、申し出た権利者の作品にしか働かず、申し出ていない作品の生成は既定で通る。出力ごとの違反の判定は、既知の保護対象に似た出力を止めるが、判定の対象は生成の結果で、許諾の有無ではない。Lemma は、「拒否が無い」ではなく「許諾がある」ことを生成の条件にするので、申し出の有無にかかわらず、許諾の記録が無い素材の生成を止める。どの素材を使う生成かを特定できる範囲で働き、生成済みの動画の拡散を止めたり、消したりはしない。

注:Lemma の照合が働くのは、生成のサービスが、生成を実行する手前に照合を組み込み、権利者が許諾を記録として出している場合に限る。自由な指示文から、出力が特定のキャラクターに似るかを判断するのは Lemma の役目ではなく、使う素材を特定できない生成は照合を通り抜けうる。許諾の記録の鍵が漏れれば通りうる。表は何を照合しているかの比較で、今回の事案で止まったかどうかを示すものではない。Lemma は、侵入を検出・防止するものではない。

点検点検チェックリスト

生成 AI で著作物を扱う組織で確認する 3 項目

  • 生成のサービスの既定は、許諾がある素材だけを使う形になっているか。
  • 権利者からの許諾を、作品・用途・期間と結び付けて記録しているか。
  • どの生成を、どの許諾に基づいて実行したかを記録し、異議を受けたときに辿れるか。

事実と時系列

対象
OpenAI の動画生成 AI「Sora 2」と、その権利管理の方針(公開当初は opt-out)。
公開当初の方針
権利者が明示的に拒否(opt-out)しない限り、著作権キャラクターを含む動画を生成できる方針だった。公開直後から、Pikachu・SpongeBob・South Park の全編風など、著名な著作物が容易に生成された。
批判
著作権キャラの動画が公開直後から拡散し、米国の Motion Picture Association(MPA)やアーティストを含む広い批判が出た。
方針の変更
OpenAI は公開から約 3 日で、著作権キャラの生成にはあらかじめ許諾を要する事前許諾(opt-in)の方式へ移すと表明した。Sam Altman は、権利者へのより細かな制御と、opt-in した権利者との収益分配にも言及した。Family Guy・South Park などのキャラは以後コンテンツ違反となり、Martin Luther King Jr. など、遺族の異議を受けて特定の人物の生成も停止された。
CODA の要求
CODA(スタジオジブリ・バンダイナムコ・東映アニメーションなどを含む)は、学習への無断使用の停止を求めた。学習の過程での複製が著作権侵害になり得るとし、One Piece・鬼滅の刃・ポケモン・マリオなどに酷似する出力を問題視し、opt-out の方式は日本の著作権の原則(事前の許諾)に反すると指摘した。
日本政府の要請
日本政府は OpenAI に、著作権侵害となり得る行為を控え、事前に権利者の許諾を求めるよう正式に要請した。

用語メモ
opt-out(事後の拒否) — 権利者が自分から拒否を申し出ない限り、使ってよいとする方式。Sora 2 の公開当初の方針。
opt-in(事前の許諾) — 権利者があらかじめ許諾したものだけを使う方式。OpenAI が公開から約 3 日で移すと表明した。
CODA — コンテンツ海外流通促進機構(Content Overseas Distribution Association)。スタジオジブリ・バンダイナムコ・東映アニメーションなどが加わる。

時系列

  • OpenAI が Sora 2 を opt-out の方針で公開する。公開直後から著作権キャラを含む動画が SNS で広がり、MPA・アーティストなどから批判が出る。
  • OpenAI が、著作権キャラについて opt-in(事前許諾)の方式へ移すと表明し、収益分配に言及する。特定の人物(MLK Jr. など)の生成も、遺族の異議を受けて停止される。
  • CODA が、学習への無断使用の停止を求める。
  • 日本政府が OpenAI に、事前に権利者の許諾を求めるよう正式に要請する。

「opt-out から opt-in への変更」と「特定の人物の生成の停止」は、OpenAI の表明と国際報道に拠る。学習データの具体的な構成と個別の許諾の状況は公開された情報が限られ、本文では断定しない。日本の著作権法の解釈と侵害の最終の判断は、権利者・当局・司法に委ねられる。公表されていないことは、対策が無かったことを意味しない。

公表後の対応

  • OpenAI: 公開当初の opt-out の方針を、約 3 日で著作権キャラの opt-in(事前許諾)の方式へ改めると表明した。権利者へのより細かな制御と、opt-in した権利者との収益分配に言及し、特定の人物の生成も停止した。
  • CODA・日本政府: CODA は学習への無断使用の停止を求め、opt-out が事前の許諾の原則に反すると指摘した。日本政府は OpenAI に、事前に権利者の許諾を求めるよう正式に要請した。
  • MPA: 米国の MPA も、opt-out の方針を批判した。

Sources

参照: 「AI 時代のサイバー防衛に残された、最後の層」

この Brief は、公表された事実から、同じ立場の組織が点検できることを整理したものです。個別の被害や手続きの案内ではありません。

本資料は公開情報の構造化分析であり、特定組織への監査・診断・推奨ではありません。

Lemma Critical Team. (2026).
"OpenAI Sora 2:著作権のあるキャラクターを、権利者が拒否しない限り生成できる方針で公開した(CODA・日本政府が要請)".
Lemma Critical Brief No.054. Lemma / FRAME00, Inc.
https://lemma.frame00.com/ja/critical/briefs/054-sora2-ip-provenance-consent/
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